不安

ひとと喋るたびに、私のなかで何かが死んだり生まれたりする。死ぬだけのお喋りもある。たくさんたくさん生まれてくるお喋りもある。その、たくさん生まれさせてくれるひとを、好きになるのは当然のことだ。何かが生まれてくるたび、新しいことが分かるから。新しいことを識るのは私にとってとても好ましいこと。
私はその内、本当にオトナになってしまう。コトナの時代を終わらせなければならないときがくる。そのとき、いま好きなひとをオトナの目で見て、嫌いになってしまったりするのだろうか。現実という目、世間という目。いつの日か、コトナ時代を黒歴史に追いやってしまうのだろうか。いまの私はいろんなことを思考しているのに。未来の自分に見捨てられてしまいそう。とても変な感覚だ。


あの人の前で泣いたことあったっけ、とふと思い出す。泣かなかったのか、泣けなかったのか、泣いたけれど隠し通したのかのいずれかだ。記憶の断片、記憶の断片、記憶の断片、記憶の