猫のいる風景 アパートからの窓

ゆらぎグループ日記より移管




雨音がノイズとなって私の夢を侵食し、そのせいで目覚めた。隣に他人の体温を感じる。彼が未だ寝息を立てて眠っていた。彼を起こさぬよう静かにベッドから抜け出し、窓のカーテンを開ける。白い空が私の眼を射る。外では雨音が途切れる事なく永続している。窓から見える路地には人ひとり見当たらない。まるで時が止まったような、感覚。雨音が聴覚をやさしく刺激し、徐々に覚醒していく自分自身を淡々と受け止めていた。
「起きてたの。裸のままだと風邪を引くよ」
彼がかすれた声で発話したのが聞こえた。私は振り向いて彼に応える。
「……おはよう」
「いま何時?」
「知らないけど、たぶん九時にはなってない」
「そう」
「うん」
私はまた窓から外を見やる。猫が一匹、向かいの家の軒下で雨宿りしていた。
「今日は何時まで居れるの?」
彼がまた私に質問を投げた。少し思い出す間があって、答える。
「夕方くらいまでは大丈夫だよ」
「夜に何かあるの」
「いや、特には」
「なら夜まで居ててよ」
「なにするのさ」
「ナニするの」
「ばか」
「そうやって反射でばかとか言うのやめてくれないかなあ」
「いや?」
「M心にキュンってキちゃうから」
「ばか」
「ほらまた、」
私は彼の唇を塞いでやる。驚いて急に瞑られた彼の目蓋が、ひどく愛しくなって、そっと指でなぞった。震える彼の舌先に自らの舌を沿わせる。指を目蓋からこめかみ、耳、頬、顎、と順番になぞり、首まで来たところで、彼の方から唇が離された。
「無理。ギブ。保たない」
「つまんないの」
「いっつも僕を誘惑するんだから、」
「だから?」
「君は朝から元気だね」
「ばか」
「ほらまた」
雨音に交じって猫の鳴き声が聞こえた気がする。私は大きく伸びをして、はっきりと、そしてにこやかに言った。
「この、おおばかやろうめ」



****

  • 書いたはいいけどゆらぎに関係ないじゃんこれ
  • ということで移管ですっさー
  • イノセントなエロスほしい
  • さいきん雨と猫とアパートのモチーフが頭から離れない 誰か助けて