淡々と陽が昇って沈んでいく

歩調をゆるめることはできても、時間の流れる速度は変わらない。気付いたときにはもう夕暮れが終わる時間だ。長い夜が始まる。秋特有の薄ら寒い風が部屋に吹き込む。窓を閉める。先日自室を少し片付けた。床の面積が少し広くなったが、そのぶんだけ室温が下がったような気がする。正直なところ、散らかった部屋のほうが安心する。わたしの周りを取り囲むモノゴトが多ければ多いほど、わたしは暖かく過ごせる。総てをまっさらにしてしまうのが怖ろしいのかもしれない。わたしはわたしの軌跡を捨てたくない。ひとつ捨てたら際限なく全部捨ててしまう羽目になりそうで、山を崩してしまいそうで、取り返しがつかなくなりそうで。そういうことばかり考えてしまうので、部屋の片付けは嫌いだ。