第十話

冒頭でシンデレラのあらすじが語られますが、ラストが懐疑的になってます。
「王子は娘を探し出して妻にめとったけれど、王子は本当に娘を愛したのだろうか」。構造的にはあひる(チュチュ)とみゅうとのことだろうなあ。あひるは魔法でチュチュになって、みゅうとと出会い踊る。みゅうとはチュチュを探すけれども、チュチュは元々あひる。たとえ恋人同士になったとして、みゅうとが愛しているのはチュチュであってあひるではない。そもそも、王子とチュチュはメタ的な制約(ドロッセルマイヤー自重)により恋に落ちることができないし。
「Aschenbrödel: Walzer-Coda」――「シンデレラ」よりワルツ-コーダ。私はバレエ作品の「シンデレラ」は見たことがないのですが、「眠れる森の美女」第三幕のキャラクターの中にシンデレラがいるように、バレエの中でも馴染みのある童話です。もちろん、ストーリーは皆様ご存じの通り。
ふぁきあがアヒルモードのあひるに「お前は罪が無くていいな」と。あひるには罪がなくてチュチュには罪がある? みゅうともふぁきあも何か罪を背負っている? 王子の心を取り戻す、という行為に秘められた愛憎。とか考えてみたり。


「前からきれいだったけど、今はもっと…。それって、心を取り戻したから?」みゅうとのバレエに表現力がプラスされてめちゃめちゃきれいに。ただ飛んだり回ったり足上げたりするだけでは本物のバレエではありません。それはただの体操。そもそもバレエにはストーリーがあって役を演じるのだから、感情表現は重要なポイントです。ほら、みゅうとの微笑み。しかしみゅうとは本当によく喋るようになりました。表情の変化もつくようになったし。表現、というのはまず感情ありきなんだなーと実感しますです。
ふぁきあの育て親、カロンプリンセスチュチュのバレエ。曲目は「くるみ割り人形」第二幕より、コーヒーの精が踊るアラビアの踊り。オリエンタルー。回収された心の欠片は「悔やむ心」。
「シンデレラ」のワルツはいい曲だなーと思った。作曲者はプロコフィエフ。上演されるっていうのをあまり聞いたことないバレエです。全幕ものなのに。
12時の鐘をバックに寮へ戻るあひる。ふぁきあにばれてしまった?! 奇しくもBGMが「シンデレラ」の魔法が解ける場面。巧いなー。
プリンセスクレールの立ち位置が未だによく分からない私。みゅうとが欲しい・心の欠片なんてどうでもいい・悪役になりきれない、とかポイントはいろいろあるんだけど。