第十一話

ラ・シル! バレエ・ブランの中でも一番ドロドロしたやつ! 私は好きだぞ!
折角なので「ラ・シルフィード」のあらすじでも書いちゃいましょう。
スコットランドのある村に住んでいた一組のカップル、ジェームスとエフィ。彼らの結婚式が今日行われます。準備に慌ただしい家族や村人たち。しかしジェームスは落ち着きがありません。どうやら空気の妖精シルフィードが彼に恋してしまったらしく、ふわふわと彼の周りを飛んでいるのです。もちろん、その姿はジェームスにしか見えません。エフィは困惑してしまいます。しばらくして、森の中に住んでいる老婆マッジがやってきて、占いをしてやろうと言います。占われるジェームスとエフィ。そしてマッジはこう言います。「エフィは幸せな結婚をするだろう、しかし相手はジェームスではなくその従弟のグエンとだ」と。ジェームスは怒ってマッジを追い返してしまいますが、ジェームスはやはりシルフィードのことが気になって仕方ありません。やがてシルフィードが悪戯でジェームスの結婚指輪を奪って森へ逃げてしまいます。追いかけるジェームス、呆気にとられるエフィたち。その隙に、グエンはエフィに愛を誓います。ここまで第一幕。第二幕は森の中から。森の中で、ジェームスとシルフィード、それから仲間の妖精たちが踊ります。空気のように軽やかに踊る妖精たち。無邪気なシルフィードにジェームスはもうメロメロ。しかし、シルフィードは空気の精。腕の中に捕らえようとも、するりと抜け出してしまいます。そこにさっきの老婆マッジが現れてこう言いました。「シルフィードを永遠にお前のものにしたいのなら、このショールをシルフィードに掛けなさい。そうすれば彼女の美しい羽は地に落ち、飛べなくなるだろう」ジェームスはマッジから魔法のショールを受け取りましたが、そのショールにかかっていたのは呪いでした。ショールをシルフィードに掛けると、羽が落ちた痛みに彼女は苦しみます。そして命まで失ってしまいます。飛べなくなった空気の精は死ぬしかありません。仲間たちが嘆き悲しみ、シルフィードの亡骸を抱え上げて天に葬ります。シルフィードを失ってしまったジェームス。そして森の向こうから、ジェームスとグエンの結婚を告げる教会の鐘が聞こえてきます。全てを失ったジェームスは森の中で息絶えてしまいましたとさ。
と、いうわけで「La Sylphide」――ラ・シルフィード。余談ですが、スコットランドの男性の伝統衣裳はチェックの巻きスカート。このバレエでも惜しみなく男性がスカートを履いています。普段白タイツを履いた男性ダンサーの生足が見られる数少ない機会です。ぐへへへへ。
んーと、るう&クレールについて整理。みゅうとの恋人としてのるう、王子の敵(大鴉)の娘としてのプリンセスクレール。その二律背反に苦しむ、という感じなのかしらん。
愛、という宝石を渡すエデル。「ただし、この宝石は強いけれど傷付きやすく、美しいけれど容易く汚れ、奪い合えば死に繋がることもあります――」そしてクレールの憎しみのこもった愛。それなんてヤンデレ
あてのない、みゅうとのチュチュ探し。一見闇雲に探しているように見えますが、チュチュの現れたところを巡っているのですよね。うむ。エビネさんのレストランも繁盛しててめでたしです。
すごい。きれいに「ラ・シル」のストーリーが嵌ってる。あんまり言うとネタバレか。でもチュチュ、それは孔明の罠大鴉の罠だっぜ! ドロッセルマイヤーの非情さが目立ってきました。けれどこの物語を悲劇に導こうとしているなら、ドロッセルマイヤーのやってることは割と普通なのだよな。おちょくってはいるけれど。悲劇大好きすぎだろ。
って、ああああああうそおおおん。つ…続きはWebで!(かなり取り乱しているようです)